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情報というものは、必要なときに必要な情報を得られてこそ意味があるのであって、市民が市民活動に関する情報を得たいと思っても、必ずそれが得られる場所に常設されていなければ意味はない、したがって、市民活動活性化のためには、それらについての活動内容や参加の方法・アクセスの方法についての情報の提供のための場の確保とそ札についての広報活動が重要になる。
ただし、問題なのは、まずそうした情報提供をどのような部署で行うのかが多くの自治体では確定していないこと、また、どのような団体についての情報を提供するのかの選択が自治体には難しいことがある。こうした問題は、他の支援政策の分野においても共通する問題であり、市民活動支援全体に関わる問題である。
(c) ネットワーク形成
市民活動は自発的・自立的活動であるが、同時に新たなネットワークの形成によってその活動の広がりを獲得していく。それは、1市民活動団体の形成にとどまらず、市民活動団体相互のネットワークを形成することによって、活動の新たな展開を見たり、情報交換によって活動の安定性やレベルアップを図る契機になる。こうしたネットワーク形成に地方自治体はどのような役割を果たしていけるであろうか。
宮城県では、県下の市民活動団体のネットワーク形成のために自治体が一定の役割を果たしている。これは、宮城県の地域振興課が所管するもので、県下数ブロックに分け、市町村の参加も得て、住民団体相互の交流を行っているものである。主な活動としてば、年1回のセミナーと交流集会を行い、学者・研究者・プランナーなどの参加も得ている。参加団体は、各地域ごとに参加の資格審査を受けており、県は協議会の事務局を努めることに徹し、会の運営自体は市民活動団体の手に委ねられている。
注目すべき点は、以下の2点である。1つは、参加団体の活動内容が多岐にわたっており、しばしば問題となるような領域別の縦割りの形でのネットワークになっていないことである、地域振興課所管といっても、福祉や環境などの領域で活動する団体が多数参加しており、異なる領域の活動についての意見・情報の交換が可能となっている。2つ目には、参加団体の中には、環境保護団体など、県行政に異議を唱えたり、施策に反対を表明する団体も含まれている点がある。行政にとって、その施策に反対するような団体を認知することがなかなか難しいのは当然である。しかし、市民活動を政策を検討する際のパートナーとして認め、協働の関係を築いていくことは、地域民主主義の観点からも重要である。
宮城県のように、行政が市民活動団体を集め、こうしたネットワークをつくることにつ

 

 

 

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